
コロナ融資を返済できない経営者が返済負担を減らす3つの対策【2026年版】

コロナ禍で実施されたゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)は、2026年4月から9月にかけて返済開始の最後のピークを迎えています。
据置期間を終えて元本返済が始まり、「返済額が重い」「このままでは手元資金が持たない」と悩む経営者が増える局面です。
東京商工リサーチによると、ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は、2020年7月以降の累計で2,333件に達しました(2026年4月時点)。2025年度の単年では410件と2年連続で前年を下回ったものの、返済ピークに物価高や人件費上昇が重なる今後は、再び増える可能性も指摘されています。
「返済額が重くて手元資金が減っていく」
「銀行へ相談したいけれど、対策の違いがよく分からない」
このような悩みを抱える経営者様に向けて、本記事では返済負担を軽くする3つの対策を分かりやすく解説します。

かつての「コロナ借換保証」は新規受付を終了していますが、借り換えという手段そのものは現行制度で今も使えます
今後の事業活動の参考にしてください。
目次
コロナ融資の返済が厳しいときにまず確認すべき3項目
返済対策を講じる前に、自社の現状を正しく把握することが何より重要です。
特に以下の3点を整理しておくことで、金融機関との交渉がスムーズになります。
1.新規資金調達の可否
借換保証や追加融資の審査では、決算書だけでなく「実現性の高い事業計画書」が求められます。
直近2期分の試算表と資金繰り表を準備し、資金使途も明確にしておきましょう。
2.業績回復の見通し
売上がコロナ前水準に戻るのか、あるいは新規事業で補うのか、定量的な根拠を求められます。
たとえば「今年12月までに月商500万円に回復」といった、数値目標と販促計画をセットで提示できると説得力が高まります。
3.半年先の資金繰り
月商の1か月分を下回るキャッシュしかない場合、資金ショートのリスクが高まります。
据置終了時の残高や返済額を試算し、赤字転落のタイミングを可視化しておきましょう。
コロナ融資の返済対策3つを早見表で比較
次に、代表的な3つの返済対策をメリット・注意点・期間で並べ、俯瞰してみましょう。
| 対策 | 主なメリット | 注意点 | 目安期間 |
|---|---|---|---|
| 借り換え(一本化) | 既存の複数融資を1本にまとめ、期間を延ばして月々の返済を減らせる | 保証枠を使うため追加融資枠が減る場合がある/コロナ借換保証は終了し現行制度での対応になる | 5〜10年 |
| リスケ(条件変更) | 月々の返済額を大幅に圧縮できる | 金利上昇や個人保証追加の可能性あり | 1〜3年 |
| 返済猶予(据置延長) | 一時的に元本返済が不要で資金繰りが改善 | 据置終了後の返済負担増加/信用情報への影響あり | 6ヶ月〜1年 |
「時間を稼ぎながら業績を立て直す」のか「返済額を長期間で平準化する」のか経営状況に応じて選ぶべき対策は異なります。
① 借り換えで既存債務を一本化し月々の返済を減らす
複数のコロナ融資を1本にまとめ直せば、毎月の返済額を圧縮して資金繰りを立て直せます。
かつての「コロナ借換保証」は2024年6月末で新規受付を終了しましたが、借り換えという手段そのものは、現行の保証制度で今も使えます。
コロナ借換保証は終了、今は現行制度で借り換える
2023年1月に始まった「コロナ借換保証(民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度)」は、2024年6月末で新規申込の受付を終了しました(能登半島地震の被害を受けた石川県内の一部地域を除く)。
そのため、2026年時点で「コロナ借換保証を使いたい」と申し込むことはできません。
この制度は終了までに約30.1万件が利用されました。(2025年2月末時点、出典:中小企業庁)
現在は、次のような現行の保証制度を使って借り換え(債務の一本化)を進めます。
- 経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)
経営改善・再生計画を作ったうえで借換等を支援する制度。2027年3月末まで実施。 - 小口零細企業保証
100%保証の既存融資を、100%保証のまま借り換えられる枠。 - 経営力強化保証
認定経営革新等支援機関(税理士・金融機関など)の支援を受けることを条件に、保証料が抑えられる枠。
いずれも、金融機関との対話や経営行動計画・経営改善計画の作成が前提になる点は、コロナ借換保証と共通しています。
手続きで準備するもの
借り換えの相談では、試算表・資金繰り表・決算書(複数期分)・経営行動計画(または経営改善計画)などの準備を求められます。
自社がどの制度に該当するか、保証料率や保証限度額の最新条件は、取引金融機関またはお近くの信用保証協会に確認してください。
借り換えの効果
借り換えで据置期間を設定できれば、その間は元本返済を止められるため、資金繰りの悪化を防げます。
ただし、ゼロゼロ融資と違い、借り換え後は利息と保証料の負担が発生する点は理解しておきましょう。
② リスケで当面の返済額を圧縮する
リスケ(条件変更)を使えば、金融機関との合意のうえで毎月の返済額を一時的に大きく下げられます。
応急処置として即効性がある一方、事業計画の提出など金融機関への説明が必要です。
- 資料準備:試算表・資金繰り表・返済計画(3年分)
- 一次相談:メインバンクへ相談、他行にも同条件を打診
- 審査:事業計画の実現性が低いと却下されるケースも
- 条件変更契約書の締結:元本据置・返済額減額・返済期間延長などを規定
- モニタリング:3〜6か月ごとに進捗報告が必要”
積極リスケ/消極リスケについて
積極:業績回復までの期間を明確にし、計画的に返済を再開する
消極:数字根拠が弱く延命的になりやすい → 審査で不利
積極リスケ・消極リスケについては、コロナ融資のリスケを検討するときに考える3つのこと の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
③ 返済猶予で一時的に元本返済を止める
返済猶予(据置延長)なら、一定期間は元本の返済を止め、手元の資金を確保できます。
ただし元本が消えるわけではなく、猶予後は毎月の返済額が増える点を見込んで交渉します。
- 据置期間:最長12か月
- 金利負担:元本ゼロでも利息支払いは続く
- 注意点:残元本を残存期間で割り直すため毎月返済額が増加
- 交渉材料:据置期間中の改善施策を提示すると了承を得やすい
資金繰りシミュレーションでわかる“危険ライン”
「苦しいから返済を止めたい」と感情で訴えても、金融機関は動きません。
具体的な数字で示すことが重要です。
ここではシンプルな試算方法をご紹介します。
手元資金が「月商の1か月分」を切ると黄色信号
- 月商:500万円
- 手元現金:400万円
- 毎月返済額:100万円
この場合、4か月後に資金が底をつきます。
Excel や Google スプレッドシートで以下の項目を入力し、月次残高をグラフ化してみてください。
- 期首残高
- 売上入金予定
- 支出予定(仕入・経費)
- 返済額
- 据置終了時の返済増額分
返済対策のよくある誤解とリスク
返済対策にはメリットだけでなく潜在的リスクもあります。誤解しやすいポイントを整理しました。
- リスケ=追加融資が完全に受けられない?
- リスケ中でも保証協会付きの追加融資が認められた事例はあります。
- リスケ=信用情報に大きな傷?
- 「条件変更先」として管理はされますが、計画通り返済すれば評価は回復可能。
- 据置=返済免除?
- 元本の支払いを一時的に止めるだけで、債務自体が消えるわけではありません。
まとめと次のステップ
いま求められているのは、“待つ”ではなく“動く”姿勢です。
ゼロゼロ融資の返済が最終ピークを迎える2026年、何も対策を取らなければ資金ショートのリスクは高まるばかりです。
しかし、借り換え・リスケ・返済猶予といった手段を正しく理解し、計画的に行動すれば、資金繰りの改善と事業再建の道筋をつけることは可能です。
まずは自社の現状を「見える化」し、信頼できる金融機関と早めに対話を始めましょう。
準備の早さが、経営再生のカギを握ります。
返済の悩みは、動き出すのが早いほど選べる対策が増えます。
「自社はどの対策が現実的か」を一度整理したい方は、夢先案内人の無料相談をご利用ください。
FAQ
借り換えとリスケは同時に利用できますか?
借り換えで既存債務を1本にまとめると、その借入は新規扱いになるため、同じ債務についてリスケと併用することはできません。別々の債務であれば、状況に応じて使い分けます。
今から「コロナ借換保証」は使えますか?
コロナ借換保証の新規受付は2024年6月末で終了しています。現在は、経営改善サポート保証などの現行制度を使って借り換えを検討します。
リスケ期間中でも新規融資を受けられますか?
プロパー融資は難しいものの、保証協会付き追加融資が認められるケースはあります。
個人保証を外せる可能性は?
経営者保証ガイドラインの要件(財務適正・情報開示等)を満たせば解除される例があります。
返済猶予を申請すると信用情報はどうなる?
「要管理先」として登録されますが、正常返済に戻れば解除されます。
返済免除の可能性は?
原則は私的整理または法的整理での検討となり、通常の条件変更では認められません。

