
コロナ融資が返済できない時の3大対策〈借換保証・リスケ・猶予〉【2025年最新版】

2025年は、コロナ禍で実施されたゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の返済が本格化する年です。
東京商工リサーチの調査によると、2025年2月のゼロゼロ融資後の倒産件数は33件(前年比23%減)に落ち着いたものの、累計では1,858件に上り、経営悪化は依然として深刻です。
「返済額が重くて手元資金が減っていく」
「銀行へ相談したいけれど、対策の違いがよく分からない」
このような悩みを抱える経営者様に向けて、本記事では以下の3つの対策を分かりやすく解説します。

今後の事業活動の参考にしてください。
目次
コロナ融資の返済が厳しいときにまず確認すべき3項目
返済対策を講じる前に、自社の現状を正しく把握することが何より重要です。特に以下の3点を整理しておくことで、金融機関との交渉がスムーズになります。
1.新規資金調達の可否
借換保証や追加融資の審査では、決算書だけでなく「実現性の高い事業計画書」が求められます。
直近2期分の試算表と資金繰り表を準備し、資金使途も明確にしておきましょう。
2.業績回復の見通し
売上がコロナ前水準に戻るのか、あるいは新規事業で補うのか、定量的な根拠を求められます。
たとえば「今年12月までに月商500万円に回復」といった、数値目標と販促計画をセットで提示できると説得力が高まります。
3.半年先の資金繰り
月商の1か月分を下回るキャッシュしかない場合、資金ショートのリスクが高まります。
据置終了時の残高や返済額を試算し、赤字転落のタイミングを可視化しておきましょう。
コロナ融資の返済対策3つを早見表で比較
次に、代表的な3つの返済対策をメリット・注意点・期間で並べ、俯瞰してみましょう。
対策 | 主なメリット | 注意点 | 目安期間 |
---|---|---|---|
借換保証 | 既存融資を一本化し、低金利で長期返済にできる | 保証枠を多く使うため、追加融資枠が減る可能性 | 5〜10年 |
リスケ(条件変更) | 月々の返済額を大幅に圧縮できる | 金利上昇や個人保証追加の可能性あり | 1〜3年 |
返済猶予(据置延長) | 一時的に元本返済が不要で資金繰りが改善 | 据置終了後の返済負担増加/信用情報への影響あり | 6ヶ月〜1年 |
「時間を稼ぎながら業績を立て直す」のか「返済額を長期間で平準化する」のか経営状況に応じて選ぶべき対策は異なります。
借換保証とは?制度概要と適用条件
借換保証は、信用保証協会の一般枠とは別に設けられた特別枠で、ゼロゼロ融資等の既存債務をまとめて借換えられる仕組みです。
- 対象:売上がコロナ前比 5%以上減少、または原価高騰で損益が悪化した中小企業
- 利率:年1.0〜2.0% 前後(保証料込みでも通常融資より低め)
- 必要書類:借換計画書・資金繰り表・決算書3期分
- 利用件数:2025年3月時点で約6.5万件利用(中小企業庁)
リスケ(条件変更)の流れと必要書類
リスケは「当座の返済負担を下げる応急処置」として有効ですが、金融機関への説明責任が伴います。
- 資料準備:試算表・資金繰り表・返済計画(3年分)
- 一次相談:メインバンクへ相談、他行にも同条件を打診
- 審査:事業計画の実現性が低いと却下されるケースも
- 条件変更契約書の締結:元本据置・返済額減額・返済期間延長などを規定
- モニタリング:3〜6か月ごとに進捗報告が必要”
積極リスケ/消極リスケについて
積極:業績回復までの期間を明確にし、計画的に返済を再開する
消極:数字根拠が弱く延命的になりやすい → 審査で不利
積極リスケ・消極リスケについては、コロナ融資のリスケを検討するときに考える3つのこと の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
返済猶予(据置延長)の交渉ポイント
据置延長は「当面のキャッシュ確保」が目的です。ただし “将来の返済負担増” を前提に交渉しましょう。
- 据置期間:最長12か月
- 金利負担:元本ゼロでも利息支払いは続く
- 注意点:残元本を残存期間で割り直すため毎月返済額が増加
- 交渉材料:据置期間中の改善施策を提示すると了承を得やすい
資金繰りシミュレーションでわかる“危険ライン”
「苦しいから返済を止めたい」と感情で訴えても、金融機関は動きません。
具体的な数字で示すことが重要です。
ここではシンプルな試算方法をご紹介します。
手元資金が「月商の1か月分」を切ると黄色信号
- 月商:500万円
- 手元現金:400万円
- 毎月返済額:100万円
この場合、4か月後に資金が底をつきます。
Excel や Google スプレッドシートで以下の項目を入力し、月次残高をグラフ化してみてください。
- 期首残高
- 売上入金予定
- 支出予定(仕入・経費)
- 返済額
- 据置終了時の返済増額分
返済対策のよくある誤解とリスク
返済対策にはメリットだけでなく潜在的リスクもあります。誤解しやすいポイントを整理しました。
- リスケ=追加融資が完全に受けられない?
- リスケ中でも保証協会付きの追加融資が認められた事例はあります。
- リスケ=信用情報に大きな傷?
- 「条件変更先」として管理はされますが、計画通り返済すれば評価は回復可能。
- 据置=返済免除?
- 元本の支払いを一時的に止めるだけで、債務自体が消えるわけではありません。
まとめと次のステップ
いま求められているのは、“待つ”ではなく“動く”姿勢です。
コロナ融資の返済が本格化する2025年、何も対策を取らなければ資金ショートのリスクは高まるばかりです。しかし、借換保証・リスケ・返済猶予といった制度を正しく理解し、計画的に行動すれば、資金繰りの改善と事業再建の道筋をつけることは可能です。
まずは自社の現状を「見える化」し、信頼できる金融機関と早めに対話を始めましょう。準備の早さが、経営再生のカギを握ります。
FAQ
借換保証とリスケは同時に利用できますか?
借換保証を実行すると既存債務が一本化されるため、リスケ扱いではなくなります。併用はできません。
借換保証とリスケは同時に利用できますか?
借換保証を実行すると既存債務が一本化されるため、リスケ扱いではなくなります。併用はできません。
リスケ期間中でも新規融資を受けられますか?
プロパー融資は難しいものの、保証協会付き追加融資が認められるケースはあります。
個人保証を外せる可能性は?
経営者保証ガイドラインの要件(財務適正・情報開示等)を満たせば解除される例があります。
返済猶予を申請すると信用情報はどうなる?
「要管理先」として登録されますが、正常返済に戻れば解除されます。
返済免除の可能性は?
原則は私的整理または法的整理での検討となり、通常の条件変更では認められません。