テレワーク・在宅勤務の本格的な導入へ労務管理の3つの注意点と安全衛生の確保

テレワーク・在宅勤務の本格的な導入へ労務管理の3つの注意点と安全衛生の確保

新型コロナウイルスの感染拡⼤により、テレワーク・在宅勤務の導入が急速に進みました。
⼀時的な対応として導入したテレワークを本格的に導⼊し直す企業様も増えています。

厚⽣労働省は2021年3⽉にテレワーク勤務の改定ガイドラインを公表しました。
今回は、テレワーク・在宅勤務の導入にあたり、労務管理の3つの注意点と安全衛生(労災)について解説します。

テレワークとは?改めて種類を確認しましょう

テレワーク勤務とは、インターネットを活用した場所にとらわれない働き方で、以下の3つに分けられます。

  1. 在宅勤務
  2. サテライトオフィス勤務
  3. モバイル勤務

自宅で行うのが最もオーソドックスなテレワークと言えるでしょう。
自宅に準じる場所で業務を行う働き方も在宅勤務に含まれます。

サテライトオフィス勤務は、シェアオフィスなどを活用して業務を行う働き方です。
仕事と休息の切替えを自宅と仕事場の移動を通じてできるのが、サテライトオフィスのメリットです。

また、上記2つとは異なる場所で業務を行う働き方をモバイル勤務と言います。

テレワーク・在宅勤務を導入するメリット

新型コロナウイルスの感染拡大防止はもちろんですが、企業や従業員のメリットをもう一度確認しましょう。

テレワーク導入のメリット
  • 業務効率化による生産性の向上
  • コストの削減
  • 育児や介護を理由とした労働者離職の防止

WEBでの打合せが可能となり、顧客先への訪問にかかる時間や経費が削減できます。
モバイル勤務を活用する事で、移動中の時間も有効活用できます。
WEB会議を経験された方は良くわかると思いますが、これまでは遠方の会場で会議を行うということもあったと思います。
移動時間の削減は、業務効率化において非常に大きいでしょう。

出社の必要がないので、通勤交通費などのコスト削減が可能です。
紙資料からPDFや動画などに電子化する事で、紙の印刷コスト・出力に関する時間も削減できます。

会社への出勤が前提の場合、出産・育児・介護などが原因で社員が退職・離職せざるを得ない場合があります。
働く場所に縛られないテレワークを導入することで、育児や介護に携わる時間と仕事の時間とを捻出できる可能性も生まれます。
企業としては、優秀な人材の流失防止にもつながるでしょう。

テレワーク勤務を導入するにあたり企業側が準備すべきこと

労働時間・労働条件などがテレワークと通常業務で同じである場合は、既存の就業規則のままテレワーク勤務を行う事も可能です。
テレワーク勤務の目的・対象者・費用(テレワーク勤務における費用)について、事前に定める事で円滑に導入する事ができるでしょう。
企業側(経営者)と労働者との事前の協議をおすすめします。

テレワーク導入における労務管理上の3つの注意点

テレワークのイメージ

企業がテレワークを導入するにあたり、労務管理上の注意点は次の3つ。

  1. テレワーク対象者を明確にする
  2. 従業員の費用負担を定める
  3. 労働時間の管理を徹底する

テレワークの対象者を明確にする

全ての労働者がテレワーク勤務を行える事が理想ですが、労働者のテレワーク環境を考慮し対象者範囲を決定します。
また、テレワーク勤務の対象者を決定する際に「勤続年数」と「対象者の自立性」も目安となります。
新入社員など勤続年数が短い従業員は仕事内容への理解が乏しく、自律して業務を進める事が難しいため、一定の勤続年数を設ける事があります。

従業員の費用負担を定める

業務に用いる通信機器、通信回線使用料、光熱費などテレワーク勤務における費用を原則従業員負担とする事は問題ありません。
しかし、テレワーク勤務により従業員に過度な負担が生じる事は望ましくありません。
PCや社内携帯の貸与、テレワーク手当として一時金の支給など必要に応じて対応を行いましょう。

労働時間の管理を徹底する

実際の就業状況が確認できない為、労働時間の把握には工夫が必要です。

  • 始業および就業時の報告(電話・メール・チャット)
  • パソコンの使用時間の記録を基にした労働時間の確認

その他にも、1日の中で時間を決めて朝礼、夕礼を行う事や、1日の業務日報を提出してもらう事も労働時間を管理する方法としては有効です。

テレワーク導入時の安全衛生(労災)の確保

テレワークのイメージ

テレワークは、私生活と仕事の区別がつきにくく、労働時間が長時間化する傾向にあります。
企業は、テレワークにおいても労働者の安全と健康確保のための措置を取る必要があります。

テレワークにおける長時間労働を防ぐため、次のような対策が考えられます。

  • 時間外労働を行う際は事前申請制とする
  • システムへのアクセス時間に制限を設ける

また、テレワークにおける災害は、業務上の災害として労災の対象となります。

労災の発生に備え、会社はPCの使用状況などの客観的な記録や、労働者が負傷した場合の災害発生状況等を、会社や医療機関等が正確に把握できるよう、可能な限り記録する事を従業員へ周知する必要があります。

今回のまとめ

テレワーク導入における労務管理上の注意点と安全衛生について紹介しました。

テレワーク導入時の労務管理上の注意点
  1. 対象者を明確にする
  2. 従業員の費用負担を定める
  3. 労働時間の管理を徹底する

テレワーク対象者には業務への理解度・自律性が求められます。
また、費用面については事前のすり合わせ、労働時間や就業状況の把握は重要な管理内容になります。

テレワーク対象者が会社に出勤していなくとも安全衛生への対策は必要です。

テレワーク導入時の安全衛生への対策
  • 時間外労働の管理
  • テレワーク時の労災への対応

特に労災関連の記録・連絡はテレワーク導入前に確実に整備しておきましょう。
これからテレワーク・在宅勤務を本格導入される中小企業様は是非参考にしてください。

それでは、今回はこのへんで。