
こんにちは、夢先案内人の鈴木敬です。
静岡県三島市や山梨県を中心に、中小企業の会計業務のサポート・経営コンサルタントをしています。
この記事では、事業再構築補助金の採択結果から申請前のポイントをまとめます。
- 過去の応募数と採択率
- 業種別の応募と採択率
- 都道府県別の傾向
- 補助金の応募額の特徴
過去の事業再構築補助金の応募数・採択数など具体的な数字は、中小企業庁 事業再構築補助金 採択結果 より引用しています。
事業再構築補助金の申請、新規事業計画を検討中の方はぜひ参考にしてください。
目次
過去の事業再構築補助金の採択結果の傾向
結論から言うと、過去4回の事業再構築補助金の傾向は次のものです。
- 第4回までの事業再構築補助金の採択率は4割
- 毎回、一定数の申請不受理がある
- 業種などに不利有利はない
- 補助金の応募金額は500万円以内が多い
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
事業再構築補助金の応募数と採択数、採択率
事業再構築補助金 公募回数 | 応募数 | 採択数 | 採択率 |
---|---|---|---|
第1回 | 22,231 | 8,016 | 約36.1% |
第2回 | 20,800 | 9,336 | 約44.9% |
第3回 | 20,307 | 9,021 | 約44.4% |
第4回 | 19,673 | 8,810 | 約44.8% |
応募数は第1回の22,231件が最も多く、2回目以降は20000件前後で推移しています。
採択率は第1回が36%と低めでした。
これは申請者・審査員ともに初めてのこともあり、低い結果になったと思われます。
第2回以降は採択率は44%代で推移しています。
全応募数からの現在の採択率は4割程度という認識でよいでしょう。
事業再構築補助金の申請の不受理が目立つ
採択率4割と聞くと、チャンレジする価値あるかも?と考えますよね。
毎回20,000件の応募があるわけですから、みなさんの関心の高さも感じます。
しかし、事業再構築補助金では申請不受理の件数が多いので注意が必要です。
不受理とは、申請後に書類の不備がみつかり審査までいかなかった申請のことです。
事業再構築補助金 公募回数 | 採択率 | 不受理率 |
---|---|---|
第1回 | 約36.1% | 約13.5% |
第2回 | 約44.9% | 約11.9% |
第3回 | 約44.4% | 約8.8% |
第4回 | 約44.8% | 公開なし |
上の表は、各回の採択率と申請が審査されなかった割合をまとめたものです。
本記事の執筆時点で、第4回の不受理の数字は公開されていませんが、第3回でも約9%が申請不受理となっています。
事業計画を練り、申請まで多くの時間と労力を費やしているはずです。
特に中小企業では日常業務と並行して新事業を計画するのは非常に大変だと思います。

不受理率は回を重ねるごとに減少してはいますが、事業計画の苦労が無駄にならないように慎重に申請しましょう。
夢先案内人では、事業再構築補助金の事業計画立案から申請のサポートまで行っています。
詳しくは、事業再構築補金のページ で紹介しています。お気軽にご相談ください。
業種により事業再構築補助金の採択結果に有利不利はある?
下のグラフは、第4回の事業再構築補助金の応募・採択の業種別の割合イメージです。
第1回から3回までの応募についても数値に若干の変動はありますが、同様の割合となっています。


応募・採択共に「製造業」「卸売業・小売業」「宿泊業・飲食サービス業」の応募で全体の6割を占め、次いで「建設業」の応募が多くなっています。
上記の業種はコロナ禍で人流・物流の影響を大きく受けた業種であり、事業転換・新規事業・事業再編の対応が必要性が高い業種であったと思われます。
製造業の採択率が比較的高く推移しますが、基本的に採択率と応募数は比例しており、業種による有利不利はないと考えてよいでしょう。
採択結果に都道府県別の傾向はあるか?
事業再構築補助金事務局による公募の結果によると、件数ベースでは東京・大阪・愛知・兵庫の順の多いとあります。
上記の都道府県は、企業数ランキングでも全国上位の都道府県です。
順位 | 都道府県 | 株式会社数 |
---|---|---|
1 | 東京都 | 615,626 |
2 | 大阪府 | 244,046 |
3 | 神奈川県 | 143,990 |
4 | 愛知県 | 121,548 |
5 | 埼玉県 | 102,185 |
6 | 福岡県 | 87,603 |
7 | 兵庫県 | 87,015 |
8 | 北海道 | 86,225 |
9 | 千葉県 | 85,763 |
10 | 京都府 | 50,775 |
採択率も応募数に比例しているため、申請結果と地域に関連性はないと考えて良いでしょう。
補助金の応募金額の傾向
事業計画が大事であることは間違いありませんが、どのくらいの補助金申請が多いのか?自分たちの計画が適切か?と気になる方も多いでしょう。
以下のグラフは第1回から4回までの、事業再構築補助金の応募金額をまとめたものです。




第3回を境に応募金額の分布に違いがありますね。
これは第3回の事業再構築補助金で補助金上限の要件が変更されたためです。
今後事業再構築補助金の申請を検討される場合は、第3回以降を参考にされるとよいでしょう
全隊の傾向としては、応募金額500万円以内が最も多くなっており、1500万円以内に全体の4割が入っています。
第3回・第4回の3000万以上の高額の申請では、通常枠の上限額である4000万、6000万、8000万に応募が集まっています。(4000万、6000万、8000万の上限額は従業員数により異なります)
事業再構築補助金は令和4年度に3回の公募が予定されていますが、第6回(令和4年6月30日締切)以降は従業員数による上限(2000万・4000万・6000万・8000万)に加えて「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「グリーン成長枠」などの新しい応募枠が発表されています。
「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」は補助率が3/4(通常枠は2/3or1/2)と通常枠よりも優遇されていたり、「グリーン成長枠」では上限が1億円になることや、過去に事業再構築補助金で採択されていても応募できるなど変更点があります。

補助金の上限や要件は変更されることがあります。最新の要件を確認して事業計画を立てるようにしましょう。
事業再構築補助金の採択結果からチェックポイント
第4回までの事業再構築補助金の結果から、応募数・採用数、業種、都道府県の傾向などをチェックしました。
・全応募数からの現在の採択率は4割程度という認識でよいでしょう。
・約10%程度の申請不受理がある(第3回までの結果より)
・「製造業」「卸売業・小売業」「宿泊業・飲食サービス業」の応募が全体の6割、各業種から応募がある
・業種や地域による有利不利はない
・応募金額は500万円以内が最も多い
・100万から1500万の応募が全体の4割
・3000万円以上では、上限額の4000万、6000万、8000万の上限付近に応募が集中
苦労して作った事業計画が不受理となっては、みなさんの努力が台無しになってしまいます。
それだけは避けるためにも、専門家に一度は相談されることをおすすめします。
それでは、今回はこのへんで。