2021年最低賃金はいつ上がる?過去最高28円引き上げ 適用範囲・計算方法を解説

2021年最低賃金はいつ上がる?過去最高28円引き上げ 適用範囲・計算方法を解説

新型コロナウイルスの流行以降、多くの企業が奮闘する中、厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月14日、2021年度の最低賃金を「都道府県に関係なく、一律28円引き上げ(平均時給 930円)」することを決定しました。

  • 最低賃金とはどのような制度?
  • 最適賃金の引き上げはいつから?
  • 適用される範囲
  • 最低賃金の計算方法

ここでは、改めて最低賃金の制度について解説します。

最低賃金とは?

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
仮に、労働者・使用者双方の合意の上で最低賃金額より低い賃金を定めても、法律によって無効とされます。

最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には最低賃金額との差額を支払わなければなりません。

最低賃金額以上を支払わない場合には、罰則(50万円以下の罰則)が定められています。
※例外的に、管轄の労働基準監督署へ最低賃金の除外申請をすることで免除できる制度もあります。

2021年の最低賃金はいつからあがる?

10月から全国の最低賃金が改定される見込みです。
多くの都道府県が2021年10月1日に上がり、他のエリアでも10月8日までに上がることが発表されています。

静岡県の場合、現行の885円から28円引き上げ、時間給913円に改定する内容が発表されています。
引き上げの日は令和3年10月2日を予定されています。

コロナ禍の今、なぜ28円の最低賃金引き上げがあるのか?

企業経営者の立場で言えば「なぜ今なのか?」と思うでしょう。

2021年の上げ幅(予定)は3.1%で過去20年間では最大の伸び率です。
7月14日、加藤勝信官房長官は「新型コロナウイルス禍でも最低賃金を引き上げてきた諸外国の取り組みも参考にして、より早期に全国加重平均1,000円とすることをめざす」「中小企業や小規模事業者が賃上げしやすい環境整備が不可欠だ。また支援強化、下請取引の適正化を進めていきたい」と説明しました。

このような経緯が今回の引き上げの要因となっております。

最低賃金の適用される労働者の範囲

地域別最低賃金は、産業や職種に関わりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。

パートタイマー、アルバイト、臨時社員、嘱託社員などの雇用形態の如何を問わず、全ての労働者に適用されます。派遣労働者については、派遣先地域の最低賃金が適用されます。

最低賃金の対象となる賃金

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚祝金等の労務の対価にならないもの)
  2. 1箇月を超える期間ごとに支払われる臨時の賃金(賞与など)
  3. 時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金(定額時間外手当等のみなし残業)
  4. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当(基準が曖昧で一律に支給されるものは最低賃金に含んで計算します)

最低賃金以上かを確認する方法

給与形態別に最低賃金以上が確保されているか確認する方法を紹介します。

時間給制の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)

日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額

月給制の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額

平成29年に発表された「毎年3%程度を目途として、全国平均1,000円を目指して」に従い、今後も最低賃金は増加していく予定です。

今一度、社員、時給者等が最低賃金を上回っているか給与の確認をお願い致します。