ここでは、事業性評価について 解説します。
馴染みの無い言葉かと思いますが、金融機関が融資の審査をする上で、借り手となる企業の事業性は重要な観点です。
今回は、事業評価性の概要から紹介します。
事業性評価の方法
事業性評価とは「財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、取引先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価して行う」融資のことです。
今まで金融機関は借り入れの審査を行う際に、決算書や試算表などの結果の数字から、返済能力はあるのか、事業の収益性はあるのかなどの分析や、万が一の時にリスクを軽減するために保証、担保は取れるのか、会社・経営者の資産背景はどうなのかということが中心でした。
要は、財務面を中心とした分析に比重が置かれていました。
しかし、それではこれから伸びていく企業が融資を受けづらかったり、担保を取られていたら融資を受けて積極的な経営をしていこうと考えづらいということもあり、金融庁が新たに打ち出した評価方法です。
事業性評価の方法
具体的に事業性評価をする上で、金融機関はどのような観点に着目するのでしょうか。
事業性評価の判断基準は金融機関により異なりますが、以下のような観点が主に挙げられます。
- 経営理念や経営哲学、考え方や経営意欲
- ビジネスモデル・製品・サービスの強み弱み
- 今後の展望や未来像、新分野や新技術への取り組み方針
- 市場環境や競合環境、業界内での立ち位置、ライフステージ
- SWOT分析
- 業績見込みや中期・長期計画 など
金融機関の担当者は、基本的にはこれらをお客様から聞き取り、資料を作ったり、融資の意見書にまとめ、稟議書類として審査に回します。
事業性評価と融資する金融機関担当者の実情
平成26年から金融庁が事業性評価に基づく融資を推し進め、徐々に金融機関でもその考え方は浸透してきています。
しかし、金融機関の担当者は日々の業務やノルマなどに追われ、一社一社のお客様から十分な聞き取りなどができないのが実情です。
また、若手の担当者や、経験の浅い担当者は十分な聞き取りができなかったり、うまく意見書をまとめられない場合も多々あります。
意見書が融資審査の上で、重要な判断材料となります。
担当者に正しく自社の事業性評価をしてもらい、良い意見書を書いてもらうためにも、自社のことをよく知ってもらう必要性があります。
密なコミュニケーションを通じた融資先との関係強化、情報の収集・整理も必要です。
金融機関の事業性評価に対応する取組み
金融機関に自社のことをもっと知ってもらい、円滑に事業性評価してもらうためにも、金融機関に情報提要・資料提供をしていきましょう。
自社の経営計画書や事業計画書を金融機関に提供し、見てもらうのも良いですが、それらを作られていない会社も多いかと思われます。
経済産業省の ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)を利用するのもよいでしょう。
これは自社の現状把握や経営分析の把握に使われるもので、事業性評価の入り口として活用できるツールです。
金融機関に自社のことを理解してもらうためにも優れていると言えます。
ツールを活用することで、改めて自社の強みや弱みを知る良いきっかけになるでしょう。
受け身では金融機関の担当者は、本当の意味で自社のことを理解してくれない可能性があります。
能動的に動くことで自社のことを金融機関に深く理解してもらい、事業発展のために本業支援をしてもらえるよう促しましょう。