銀行から不動産を担保に借り入れをする場合、抵当権などを設定する必要があります。
今回は、不動産担保の種類と評価額の計算方法について紹介します。
不動産担保の種類は?
そもそも担保は大きく分けて2つあります。
- 人的担保
- 物的担保
人的担保とは、保証人を担保とする方法です。
代表的なものが法人が借り入れをする場合に代表者が連帯保証人となるケースです。
物的担保とは、不動産や預貯金など特定の物を担保にします。
不動産担保は物的担保の一つで、さらに抵当権と根抵当権に分かれます。
抵当権
抵当権は、1回の融資に紐づいて担保を設定する場合に利用されます。
不動産を購入する際には抵当権を設定することが多いです。
抵当権には次の4つの性質があります。
- 借り入れを完済すると抵当権も消滅する
- 借り入れが他の人に譲渡されると抵当権も移動する
- 借り入れを一部返済したとしても抵当権も一部消滅とはならない
- 抵当不動産が滅失した場合に抵当不動産の所有者が受け取る金銭を代わりに受け取ることができる
根抵当権
根抵当権は抵当権とは対照的です。
担保の評価額の範囲内で何度も借り入れを行うようなときに、根抵当権が使われます。
例えば頻繁に借り入れをしている会社があったとします。
借り入れのたびに抵当権を設定していたら、手続きも煩雑ですし費用もかかりますよね。
その無駄を排除したものが根抵当権です。
不動産担保の評価方法
銀行が算出する不動産の担保評価額は、土地と建物それぞれの評価額に担保掛目を掛け算します。
担保掛目(たんぽかけめ)とは、不動産や有価証券などを担保にして融資を受ける際の評価率。
金融機関は融資額を決定する際に担保の査定目安として算出します。
担保掛目は銀行により異なりますが、7〜8割ほどと言われています。
土地評価額の計算方法
土地評価額 = 路線価 × 土地面積
土地評価額の計算例
路線価:200千円/㎡、土地面積:100㎡ の場合
土地評価額:20,000千円
建物評価額の計算方法
建物評価額 = 建築単価 × 床面積 × 現在価値割合
現在価値割合とは、耐用年数に対して建物が建ってからどれだけ経過したかを表します。
建物評価額の計算例
建築単価:木造170千円/㎡、床面積:120㎡、現在価値割合:(1ー経過年数2年/耐用年数22年)の場合
建物評価額:約18,544千円
担保評価額
担保評価額 = (土地建物評価額 + 建物評価額) × 担保掛目
今回紹介した土地評価額と建物評価額から担保評価額を算出します。
担保掛目は7割とします。
担保評価額 = (20,000千円 + 18,544千円) × 7割 → 26,980千円
担保評価額が低いのはなぜ?
銀行が行う不動産の担保評価は実勢価格と比べて低く見積もられることが多くあります。
理由ですが、銀行は担保物件の抵当権等を行使して、担保物件を売却し、借り入れの残積の補填にします。
競売になると、実勢価格よりも通常は安く処分することになります。
銀行の不動産評価は処分目線で評価するため、実勢価格よりも評価が低くなるのです。
最後に、今回のまとめ
不動産担保の種類と評価額の計算方法について、解説しました。
担保は物的担保と人的担保があり、不動産は物的担保にあたります。
不動産担保は以下の2つがあります。
- 抵当権
- 根抵当権
不動産購入には抵当権を設定することが多くなります。
不動産担保の評価額は、土地評価額と建物評価額の合計に掛目の積で算出します。
本記事内で評価額を算出しましたが、あくまで目安としてご覧になってください。
銀行は、財務内容が良くない会社に対して担保提供を要求することが多いです。
企業の経営者様は、財務内容を良くすることを心がけ、不要な担保提供をしないようにしましょう。